昨日までの沈んだ気持ちも天に吹っ飛ばしてくれるような朝日と鳥の鳴き声で目が覚めた。
今日は燃えるごみの日だ。朝ご飯は何を食べようか。いつもより30分ほど早く起きたな。散歩でもしようか。そんなことを寝起きの靄がかかった頭でぼんやりと考えながら体を起こす。
いつも通り顔を洗って歯を磨いて、着替えて、朝ご飯を食べて。諸々のモーニングルーティンをこなし、出発の準備を整える。
今日は月曜日。週末は大好きな劇団の新作公演を見に行った。ものすごく面白かったし、感動した。告知で大々的に宣言していたように、今回は特にステージの演出に力が入っていた。小道具や大道具、CG、ステージの外さえも有効活用してしまう斬新なアイデアに非常に楽しまされた。最後の演者あいさつでは心の底からの拍手を演者に送った。
そんな感じで、昨日までのストレスの発散と明日からの生活の活力になり、今日からもパワフルに動こう、そう誓った。…はずだったのだが、どうも気が滅入る。どうして彼らはお金をもらって称賛され、私はお金をもらって罵声や怒号を浴びせられるのだろう。
「私は、自分の人生について考えるとき、すべての仕事をストップさせて、海外に行って自分を見つめなおすんです。」有名な女優がドキュメンタリー番組でそんなことを言っていた。一般会社員である私が同じことをしようとしたら、上司にひっぱたかれるだろうし、往復の飛行機代だけで借金生活だ。
朝からこんなことばかり考えていて、せっかく早く起きた30分も無駄になった。家を出る。
私は、地方の大きめの中小企業で働いている。総務部の庶務担当に配属され、主に書類の整理や資料の作成、来客対応をしている。大雑把に言えば雑用だ。
地方で名が通ったこの会社なら、私がやりたいことができるのではないか。この会社に足りないものを私が提案することでこの会社をもっと大きくし、顧客の枠を広げ、さらに既存顧客をもっと満足させられるような環境を提供できるのではないか。
そんなことを就職面接で述べ、就職した。勿論、希望部署は企画・開発部だ。大学4年生の春に就活を終わらせ、研究室での研究・卒論の合間を縫って「社会人必須!プレゼン資料の作り方」みたいな本を読み漁り、早いうちに戦力として迎えられたい。そう思っていた。
その後、内定式や入社課題等をこなし、4月が来るのを楽しみに待っていた。2月末、会社から文書が届いた。入社式の案内と、2枚の紙。1枚目は、入社式後の一斉研修の案内。もう一枚は先行辞令のようなもの。「○○支社○○支店 総務部に配属予定」用紙を見た瞬間、絶望に打ちひしがれた。まあ、あくまでも予定だから…と気楽に考えていたが、どうやら99%確定らしい。
そんなこんなで今に至る。私の何を見て総務部に配属したのだろう。今後何をすれば企画部に行けるのだろう。とりあえず今の仕事を全力で頑張ろう。
※この物語はフィクションです。